医師になるまでの大まかな流れ
医師になるまでの道のり
医師になるにはいくつかのステップを踏まないといけません。この記事では医師になるまでの大まかな流れについて説明します。
医学部受験から医師国家試験に合格するまで
医学部受験から医師国家試験に合格するまでの大まかな流れは以下のようになっています。
- 医学部受験に合格する。
- 教養課程を修了する。
- 基礎医学の勉強をする。
- 臨床医学の勉強をする。
- 病院実習にでる。
- 医師国家試験に合格する。
順を追って説明します。
医学部受験に合格する
まずはご存知の通り医学部に入らないといけません。当たり前ですがとにかくまずは医学部に入ることが重要です。日本の医者への道のりで一番大変なのはここです。もちろん医師国家試験も別の意味で大変なのですが、合格の難易度は大学受験の方がはるかに上です。
教養課程を終了する
医学部に入学してからのカリキュラムは大学によって違うのですが、大体は教養からスタートします。英語とか経済学とかそういうやつです。医学部に入っていきなり医学漬けの毎日が待っているわけではありません。まずは一般教養からスタートです。早く医学の勉強がしたい人は出鼻をくじかれた形になりますので、モチベーションが下がってしまう人も中にはいます。
基礎医学の勉強をする
さて、一般教養が終わったら病院のお医者さんがやっている勉強ができるのかというとそうではありません。内科学、外科学、産婦人科学、眼科学などいわゆる医者の臨床的な知識を詰め込むのはまだまだ後のことです。まずは基礎医学からやらなくてはなりません。基礎医学とは解剖学や生化学、生理学などの臨床医学のベースになる医学のことです。実臨床の勉強をするためにはまず体のパーツの名前を知らなくてはなりませんし(解剖学の勉強)、その動きがどういうメカニズムで起きているのかを知らなくてはなりません(生理学の勉強)。ほとんどは座学ですが、この頃から実習も始まります。実習と言っても病院で患者さんの前に立つのではありません。医学部の人ではない人もイメージしやすいのが解剖実習です。ご遺体を解剖させていただき、実際の人間の体がどうなっているのかを学びます。
臨床医学の勉強をする
基礎医学を一通りクリアすると、ここでやっと内科とか外科とか耳鼻科とか精神科とかのいわゆる臨床医学の勉強に入ります。大体3-4年生で臨床医学の勉強が始まります。病院の看板に書いてある「内科」「耳鼻科」などの科目を一通りすべて勉強します。病院に書いてある科目を想像してもらえればわかりますが、実に多くの科目を勉強することになります。内科と一言で言っても臓器別に勉強するので、消化器内科、呼吸器内科、循環器内科、腎臓内科・・・と様々です。一つ一つの教科で、教科書のボリュームが結構あります。例えば下に挙げたのが有名な内科学の教科書です。
ページ数は実に3376ページ。先ほど挙げた内科のジャンル全てまかなえますが、それにしてもすごいボリュームです。ただこういうスタンダードな教科書を使う人もいれば、下に挙げたようなカジュアルな教科書を使う人もいます。大学受験でいうと、青チャートで勉強するのか細野真宏先生の本で勉強するのかの違いですね。
(細野真宏先生の本ってこのシリーズです↓)
臨床医学の勉強になるといよいよ医学の勉強らしさが出てきます。今までちゃらんぽらんだった人もモチベーションが上がってきていきなり勉強し始めるケースがあります。ここまで書いていませんでしたが当然一科目一科目テストがあります。大学によってはしっかり勉強しないと容易に留年します。
病院実習にでる
座学を一通りクリアしたら最後は病院実習です。大学にもよりますが、5-6年生で実習に出ます。早い大学ではもっと下の学年から病棟に出るところもあるようです。病院実習では実際に白衣をまとって病院の各科を回ります。基本的には指導医にくっついてまわり、患者さんの病気を実際にどうやって治療しているのかを見ます。ここのところどんどん学生に手技をやらせようという流れになっており、学生さんの頃から手技をやったり治療に参加したりする学校が増えているようです。聴診器を使って聴診をするなどの簡単な診察は普通にやります。数週間から1ヶ月くらいの期間であらゆる科をまわります。大学や科目によってはその科の最後にレポートの提出を義務付けられることがあります。
医師国家試験に合格する
病院実習と並行して国家試験の勉強をします。病院実習が終わってからは完全に受験モードに移ります。国家試験の勉強をするだけの生活になります。学校の授業がない浪人生のような生活です。病院実習の終わりは大学によって違います。6年生のはじめに終わる大学もあれば、秋口まで続く大学もあります。私立の方が国家試験対策に力を入れてくれる傾向にあるため、実習も早く終わるようです。
国家試験の勉強方法は人によって違いますが、教科書だけで勉強する人もいれば、ビデオ講座を使って勉強する人もいます。みんなで集まって勉強する人もいれば家で一人だけで勉強する人もいます。大学によっては勉強スペースの貸出をしてくれるところもあるようです。大学受験と同じで模試も年に何回かあります。大学受験と違うのは、合格率が9割ということです。模試の偏差値が50だったら普通に受かります。それなら簡単じゃないかと思われる方もいると思いますが、大学受験とはまた違ったプレッシャーがかかります。9割とは言っても、楽に合格できるわけではありません。曲がりなりにも医学部受験を合格した人たちが本気で勉強したうえで9割が受かる試験ですので、怠けると普通に落ちます。ちなみに試験は筆記のみで3日間連続です。合計900分ほどの試験時間を一気に3日で終わらせます。集中力を持たせるのも大変です。
合格したら晴れて医師免許を取得し、医師となります。
あれ?研修医が終わらないと医者になれないんじゃないの?
どのタイミングで研修医になるのかがわかりにくく、一般の人には混乱する部分のようです。よく研修医を終わらないと医者になれないと思われがちですが、医師国家試験に合格した時点で医師となります。研修医はどのタイミングでなるのかというと、医師国家試験を合格してからなるんです。運転免許を取得し、初心者マークをつけている人と同じ段階と考えてください。運転免許を取得した時点でドライバーであるのと同じように、医師免許を取得した時点でドクターになるんです。
「医師国家試験に合格する」の項目で書いていませんでしたが、実は医学部6年生の時に国家試験の勉強、病院実習と並行して就職活動を行います。医師免許を取得したら就活で受かった病院で研修医をやるのが一般的な次のステージです。